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「季節のはがき」2014.5


侘びの造形

国宝如庵である。茶道関係にはあまり真剣な興味はなかったのであるが、とりあえず茶席を取り上げて間の解説をしてみる。作者は織田有楽斎ということになっており、有楽流の茶の湯の元祖でもある。
扨、如庵内部を解説すると 
 床の間 床柱 床框 斜めの壁 三角の鱗板という地板 茶道口に至るバランス。 道庫の位置 その上の詰め打ちの格子 その障子を透かす光の滲み 中柱と壁の杉板に、手前の明かりのくりぬき。 連子窓から躙り上がりとその位置。天井の解説3種類 平竿天井 駆け込み天井 突き上げ窓 網代天井 素材、間の広さ 動線 等等になります。


緋色を刻む杣の鑿痕、黒に潜む漆の耀き。床の構成。
床の間のハツリの柱(一位)、仕上がったばかりの頃は、真っ赤な床柱に黒のかまちの組み合わせとなっていた。
一位(いちい)という木は、割ると真っ赤な緋の木目が現れてくる。
床脇右側は筋違いの間と言われる斜めの壁と、足下に三角の板が嵌め込まれているが、私自身の感想では、片身変わりの意匠に思えてくる。
つまり床(とこ)を床脇(とこわき)と茶道口まで含んで一対として眺めてみると床畳(とこたたみ)と2寸下がった板とのついの構成の延長に入口がある。三角の部分で奥行きに変化を描き左右の構成がまったく違う姿に変わるが、バランスは抜群である。


 茶道口給仕口を兼用する紙貼りの障子から右手に詰め打ちの格子が見えてくる。格子の間隔を詰めその隙間から漏れる光を障子を透かしてみると屈折した光が障子紙を彩ってくる(自然光の七色)
お手前の炉の中柱は足下の太さ1寸6分くらい丁度畳みの縁巾2列よりやや細い。この畳縁巾に合わせた関係上無目敷居もまた1寸6分巾になる。この柱にちりを設けて壁を塗ることは無理で仮に仕上がっても、ぶつかれば、大きく破損してしまうと考えられる。また、炉の手元の明かりをとる為に淵をはまぐりで塗り回すことも施工上不可能である。出来なくはないが貧相になる。杉板の厚さ5分程度の板をくりぬいて納めるという手法はさすがである。さらに、暦を腰貼りに用いるという発想は、四季や歳時の出来事を思い出すきっかけであり、想い出を記憶に変え、歳月から歴史へ向かう、一期一会の話題つくりにはもってこいなのかもしれない。
この作者の発想は空間センスも含めて天才です。床の動線と片身変わりの発想から兼用口の動作の融合、床の赤と黒の構成、炉の壁側にある有楽窓の詰め打ちの細隙を利用した光の分解効果による色の演出と風のゆらぎ。中柱の丸型のくりぬきによる機能性と意外性を上質に納めています。また、にじり上がりの位置も床正面ではない位置にあり、武家の節度との均衡を考えてあると理解しました。
侘びというのは、造形であり、静けさに深く耳を傾けることであって、建築は場の複雑な印象を静寂へ導く工夫が必要だと考えます。
往時の闇と色彩の扱いの作法は、現代人とは凄みが相当違いますが、一般人の発想を遥かにこえています。
1 間の構成上の緊張感と大胆で躍動する均衡の姿。
2 プリズム効果を狙った格子の細隙とその光芒の扱い。
3 斜めの壁の機能性と意外性の均衡
4 赤と黒の床の構成
5 暦の腰貼りという間の詰め方。などなどでしょうか。
6 広さ2帖半台目という空間の扱い方。(客の人数の多さ?)
7 炉の手前の明りのくりぬき方とその大きさ。
8 中柱の造形上の太さ、手元の明かりの穿ちのかたちと配慮。
9 客の矜持を気遣う躙り上がりの配慮。
10 掛込天井の突き上げ窓。
こんなところでしょうか。
外観はまた別の機会に解説します。
現代空間に現代の静けさの空間造形をつくりたいものであるという希望を語りました。
国宝如庵




場所 愛知県犬山市名鉄犬山ホテル内 国宝如庵