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(有)伊東工務店
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「季節のはがき」2014.10


茶の間

 笠のついた白熱電球、畳、まあるいちゃぶ台、障子、襖、畳、仏壇、神棚、柱時計、茶箪笥、火の用心の貼り紙。時を刻む振り子の音。ついたて、かまち、縁側、それに夏だったら、葦簀(よしず)、風鈴、吊りしのぶ、金魚鉢、かき氷、すいか、そして一年中を通していたほの暗い安定感。家族の姿、沈黙、この曖昧な空間は、いったいなんだたのか。内向きの団欒と食事、世間話、新聞、子供の勉強の場。綯い交ざる湿った情念の気配、体温 世間。
 何故かローアングルが似合う空間であり、難しい顔をした、おとうさんが新聞を読んで肯いている光景、家族の姿と周辺環境や人間関係、地域隣組みとの関わりなんかと妙ににあっていた場所でもありました。
■ 配置
そして、その平面上の位置は、北側の2帖、3帖間、4.5帖間、6帖間のひろさがあり、台所となりあう場所でした。この場はしつらいの使いこなしで成立していました。
■ 気配
そう広くない住宅空間では、お互いが、けはいを感じ、家族間でも、礼節を意識していましたし、のれんを通して、誰が来たのか、すぐわかるような、工夫もあり、夏向きの場所でもあって訳です。
さて、おとうさんの居場所も定まっており、家の中の存在意義と役割があった時代でした。
  近代住宅は、封建時代からの接客中心主義、明治には、家族団らん重視、昭和初期から~中廊下 寝食分離、昭和50年代以降~動線計画重視、個人プライバシーの保護、家事の電化へと変わり、茶の間は消えてしまいました。
 家族は 社会という共同体の中の一員であり、そして自ら家族という一員であります。家族の構成員である個人は、社会と、家族という二重の共同体に属しています。
 これが、居間中心になると、この社会との関係性に混乱が生じ、それぞれが分断され、社会共同体へ向かう部分(間)、がなくなり、各自の個室化が進み、気配すら、ほとんど感じられなくなりました。  縁側の夏の風景、玄関の礼節のかたち、や視線、緊張感、打ち水による涼しくさせる工夫、この社会共同体と連鎖する空間が、なくなりました。個はプライベート という名で、囲われ、遮断されています。
従って、意識の中にあった、地域や共同体から室内空間への連鎖と、室内空間との均斉が崩れ、バリアフリーの床に段差のない仕様によって、部屋の意味とその裏表を表現する場を失いました。心とかたちは、心さえ在ればよいものではありません。かたちや視線の高さによる心理的な効果もまた、大変重要な、均衡をつくり出していました。
みなおしてみると茶の間という裏舞台は社会と世間の竪糸と緯糸が綯い交ざる絶妙な空間であったのかも知れません。