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時と暮らしをデザインする家づくり、この街で60年 甲府市の工務店です。

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(有)伊東工務店
〒 400-0043 山梨県甲府市国母2-4-1
055-228-8191

「季節のはがき」2015.7.28


縁 側

庭の木々が奥深い山懐を幻視させる景を描いています。重なり合う木々の陰翳の闇は、ときおり通りゆく風にしなやかに揺らいで、夏のうつろいは深い土庇から座敷を透き通しています。
雨落ちから、渓流と水辺を想起させる布置意匠の石が外縁へ向かって並んでいます。縁板は奇数五枚の見事な板目の板がならび、入側縁の畳へと繋がっていきます。
この場所を通して外の自然の躍動する息吹が右側奥の深い座敷にとどいています。
ここでは、やっと辿りついた光の穂先が闇に跳ねかえされて、間にたおやかに堆積していく、祭りの喧噪や殷賑の名残など、そんな時の流れを感じます。
歳月と丹精に磨かれた上質な間が完成し、季節を超えて、座敷は訪れる人を歓待する姿となり、日本の建築空間の品格ある縁側の完成された姿をここに見ることができます。
屋根裏の化粧隅木、化粧桁、垂木、小舞は配付けのようです。雪深い地域ではなかなか見ることが難しい建築の仕掛けがあるようです。桔木を使った軽快感のある土庇空間の姿は、この地域ではめずらしい意外性のある意匠となっています。
私たちは、伝統の「縁の風景」から住まう人と、日々新鮮な誕生したての自然と、楽しく関わりあう空間を創造していきたいと考えています。
それは、逍遥する光の微睡みの中に見える幻視へ誘う間の文脈にあり、永遠に循環する自然の鼓動と光と風の精妙な均衡ということになるのでしょうか。地域や近隣との人と人の関わりもまた空間の構成と視線、動線の扱い、綯いまざる気配の均衡にも見えてきます。伝統建築の姿、そのかたちの中からしか矜持ある未来は見えてきません。先人の技だけではなく自然の一部として捉える建築の姿。またその背景に見えてくる思想や言葉を次世代へのメッセージとして継いでいきたいと考えています。 
        
撮影平成二十七年七月  
新潟県岩船郡関川村下関904 国指定重要文化財渡邉家住宅