山梨の注文住宅 空間デザイン パッシブデザイン ライフデザインを提案する快適な暮らしの注文住宅の工務店です





時と暮らしをデザインする家づくり、この街で60年 甲府市の工務店です。

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


(有)伊東工務店
〒400-0043 山梨県甲府市国母2-4-1
055-228-8191

「季節のはがき」2019.10.7

クリックすると拡大します。

 神韻
 神韻の本来の意味は人が作ったものとは思えないような優れた芸術作品などに見られる趣のことを言います。神道の神、日本の神の存在を感じるとき、それは自然の中の風のそよぎや綯いまざる気配にあると感じます。風もないのに一カ所だけ木の枝が揺れている。そんな普段見かける風景からも見られます。草木一本一本から山々などあらゆるものに神が宿るという考え方から来ています。紙垂はこの神の気配を視覚的に感じるセンサーとなっていると理解してます。この空間は細い柱の鳥居一基一基が連立して間を規定しています。細く繊細な鳥居は互いに艶めかしく、その妍を競うように並んでおり、鳥居一基一基は詰めて建立されているため細く幅の違う隙間が連なるという状態が連続していきます。その並んだ細い隙間から落ちてくる朝の光が的皪(てきれき)と輝いています。闡明(せんめい) とははっきりさせること。つもう一つある空間の美しさは杉の木に塗られている光明丹とその艶やかな輝きを言います。

的皪(てきれき)とは意味はあざやかに白く輝くさまのことで、芥川龍之介の『芋粥』にあった言葉です。

 丹とは光明丹のことです。化学的にいうと四三酸化鉛(Pb3o4)を主成分とした赤色塗料のこと。「 鉛丹」(えんたん)とも言われます。市販されていた頃は18リットル缶の一缶が一単位でしたが一缶18キロだったかな。かなり重い塗料で、底の方に少しだけ入っていました。以前は橋梁に塗られていて、鉛丹ペイントと言われましたが、鉛公害が原因で使われなくなりました。この鳥居の塗料に接着の膠を混ぜて使用されていると聞いた時は驚きました。技法は詳らかに知りません。

朱と混同されているのでついでに解説すると、朱は硫化第二水銀 HgSを主成分とする赤色系の顔料。天然には辰砂として産出されます。普通,硫化水素,稀酸およびアルカリに耐性があります。硝酸と塩酸との混酸で溶解します。太陽光には強いが、熱には弱いという性質があります。有毒。ベンガラ(別名:紅柄、酸化第二鉄)です。

 

 玲瓏(れいろう)美しく照り輝くさま。丹の下地は杉の木の地肌です。隙間から落ちて来た光は吸い込まれるように鳥居に当たり、弱々しい光の小さく輝く粒となって空間を穏やかに染めて逝きます。たぶん神様の声が聞こえてくるとしたら玉のような玲瓏な声(音色)じゃないでしょうか。

 蠱惑(こわく)妖しい魅力でまどわすこと。この空間に漂う影が醸す気配。

センターコピーの作文は

毎日やってくる新しい朝のことですが、ラジオ体操の歌の「新しい朝がくる」から使いました。僕的には気にいっている部分で「新しい朝が来た」、「希望の朝だ」。寝床の蚊帳をめくって夏休みのラジオ体操へ向かう。その緑色の蚊帳の乾いた匂いカサカサした手触り、小学生の頃の清々しい夏の朝を思いだします。毎朝やってくる朝、その新鮮な光が連続してならぶ鳥居の笠木の隙間から落ちてくる的皪と輝く早朝の光。この千本鳥居が描き出す空間の気配は独特のものがあり、間はひとつの完成された姿となっています。

 この千本鳥居の写真の写しかたも幽玄で暗い印象のものが沢山見受けられ、怖いと感じる人もいます。連続する鳥居の洞門の空間から感じられるものは天空からの光が差し込んでつくる世界であり、造形のひとつの北限と言えるでしょう。

「爽やかに日本の旋律を奏でます。」

 建築は視覚で感じる音楽です。

明治の始めの頃日本にやって来たフェノロサの言葉に建築は凍れる日本の音楽という言葉から使いました。撮影場所は京都伏見稲荷 千本鳥居でした